弁護士法人 親和法律事務所

企業法務はこちら

コラム

相続

遺産の価値:遺産分割の際に見落とされがちなもの

2021.05.10

遺産分割の際、特別受益や寄与分といった相続分を修正する点については意識を向けられていても、そもそもの遺産の価値の評価について見落とされている方が多くおられます。そこで、今回は、遺産分割にあたり、遺産の評価がどのように影響するのかについて説明をします。

1 遺産の評価が遺産分割に与える影響 

たとえば、Aという資産の価値が実際には50円であるにもかかわらず、100円として評価されていた場合、Aという資産を取得した相続人は本来取得するはずよりも少ない資産しか取得できないことになります。逆に、Aという資産の価値が実際には100円であるにもかかわらず、50円として評価されていた場合、Aという資産を取得した相続人は本来取得するはずの資産よりも多くの資産を取得できたことになります。

このように、遺産の価値が適切に評価されていなければ、その遺産を取得した人が得をしたり損をしたりすることなります。別の言い方をすれば、遺産分割は、個々の遺産の価値の評価に基づいて、相続分に応じて遺産の帰属を確定する手続き遺産ですから、そもそもの遺産の価値が適切でなければ、適切な遺産分割ができないことなります。

2 どのような資産について価値の評価が必要か

日本円の現金・預金であれば、普段用いている単位が、その資産の価値を示しているので、改めて評価は必要ありません。

しかし、不動産等の現物資産、上場株式などの時価が変動する資産、外国の通貨については、その資産の評価が一定ではありませんから、その資産の価値を評価して(何円かを評価して)、その評価について相続人間で合意(または裁判所の判断)をする必要があります。

具体的には、上場株式や外国通貨のように、同種物が多く取引されていて、相場が形成されているような場合には、どの時点での金額を評価額とするかを決めて、資産の評価をしています。

不動産等の現物資産の場合には、事情はより複雑です。とくに不動産は、同種物は存在しないかあっても数が少なく、その物についての明確な相場が形成されているとはいえません。また、そのときの市況によっても価値が変わってしまいます。そのため、何らかの方法で評価を決める必要があります。

3 遺産の価値≠相続税評価額

遺産分割の問題と相続税の問題とは全く別の問題です。遺産の価値は相続税申告の際の評価額と異なります。そのため、相続評価額をそのまま遺産の価値と考えると、遺産の実際の価値を反映していない場合があります。例えば、使用されていない空き地と駐車場として貸し出している土地であれば、駐車場として貸し出している土地のほうが、賃料収入が発生するため価値が高いと考えるべきことが多くあります。このような実情を遺産分割の際に考慮するためには、不動産鑑定をしてその遺産の適切な価値を明らかにすることが必要となってきます。

 

遺産を適切に評価することは、遺産分割の前提として重要なのですが、見落とされがちです。適切に評価をしないで遺産分割をしてしまうと、実体に沿わない遺産分割になってしまい、将来の紛争の原因にもなりかねません。遺産分割をする際には、遺産の価値の評価が適切かどうかも検討されてみてはいかがでしょうか。

検索

カテゴリー